ifネギま! 〜一話一妄想〜




第一話



 ネギの言葉に心を動かされ、高畑先生に告白することを決意した明日菜。しかしその前に、彼女はネギを相手に告白の練習をすると言い出したのだが……。

 
「あんた今から高畑先生ね」
「あ、あい」
 突然の舞台設定、そして明日菜の一方的な物言いに、戸惑いながらも返事をするネギ。
 思わず気をつけの姿勢で固まってしまうネギに、明日菜は向き合った。
 しかし。
 頭一つ背の低いネギを見下ろす明日菜。
 頭一つ背の高い明日菜を見上げるネギ。
「……」
「……」
 当然、実際に告白するとしたら、背の高い高畑先生のことだから明日菜の方が見上げなければいけないはず。
 結構細かいところまでシミュレートする気のようで、明日菜は少し考えたあと、ネギの体をひょいと持ち上げて、階段を一、二段昇らせた。
「あ…あの……」
 とここに来て、ネギはちょっと何か違うんじゃないかと思ったらしい。質問とも抗議ともつかぬあいまいな呼びかけ。
 しかし、明日菜はそんなネギをよそに、ツインテールにしてあるリボンに手をかける。
 ちりりん……。
 髪飾りの鈴の音と共にするっとリボンがほどけ、明日菜のつややかな朱色の髪が彼女の背中にかかる。
 窓から射し込む陽射しが、これまでの快活さ一本槍とは違う、彼女の別の一面を照らし出した。
「ふう……」
 と、明日菜はうつむき加減でため息のような深呼吸を一つ。
「あ……」
 目の前の明日菜の表情にネギは、はっとする。
 明日菜は顔をあげ、どこからか吹いてきた風に、腰まで伸びた髪を揺らしながら言った。
「好きです」
 ネギの胸の奥で、ドキンと甘い衝撃が一つ。
 明日菜は軽く握った両の拳を胸元に。頬を赤らめながらネギの目を真っ直ぐ見てもう一度。
「好きです。先生」
 祈るように両手を組みぐっと顔を近づける。
「ずっと前から……迷惑ですか」
「あ、いえ…でも……」
 思わず上体を反らしながら、意味の通じない言葉をつぶやくネギ。
 窓からの陽光に照らし出される明日菜の髪をおろした姿。それはさっきまでとうってかわって慎ましく、しとやかで、ネギに故郷の姉を思い出させた。
 と、そこで明日菜はくるっときれいなターンを決めると、目を伏せてうつむき、
「やっぱりダメですよね。私なんか……」
 と、わざわざ悲しげな声色を作って消え入りそうに言う。
「えうっ」
 明日菜の姿に、ネギは思わず明日菜の肩をぐっと掴んだ。
「そ、そんなこと……」 
 と振り向かせたまではよかったが、急な回転に明日菜が足をもつれさせてしまい、ネギの方へと倒れかかった。
「あ」
「…っと」
 その拍子に、二人の顔がお互いびっくりするほど近付いてしまう。
 相手の温かく湿った吐息がかかり、鼻先がもう少しで触れ合う距離。
 ネギはもとより明日菜まで、そのあまりに近すぎる位置に胸の鼓動が高まりつつあった。
「…………」
「あ、あの……」
「……」
「……」
 大きく目を見開きながら見詰め合っていた二人だが、やがて明日菜の目が愛しいものを見るように熱がこもりだした。
「この先の練習も……いい?」
「えっ……」
 ネギの返事もきかず、明日菜は彼の両頬に手をあてる。
 ゆっくりとまぶたをおろしながら、熱い声で囁くように言う。
「目を…閉じて……」
 素直に目を閉じるネギ。それを薄目を開けて確認した明日菜は、そのままネギの両頬を引っ張ろうとした。
 実は彼女、キスをする気などなく、ネギをからかうつもりでこの『練習』を言い出したのである。散々ひどい目にあったしかえしというわけだ。
 ところがその時、予想外のことが起こった。
 これまで明日菜に圧倒されっぱなしだったネギが、ぐっと顔を前に突き出したのである。
 突き出したといっても、実際は二、三センチかそこら。しかし二人の唇が触れ合うにはそれで充分だった。
 ネギの柔らかい唇の感触を受けて、思わず固まる明日案。
(え? え? ええ?)
 驚きと、後悔と、恥ずかしさと、そしてかすかな快感とが一斉に出てきて彼女を混乱させる。思わず大きく目を見開き、びっくりするほど近くにあるネギの顔をまじまじと見てしまう。
 しかし、ぎゅっと目をつぶって唇を押し付けてくるネギの顔を見ていると、不思議なことに怒りは湧いてこなかった。
(う、うわー……こんな子供とファーストキスしちゃった……。人を呪わば、ってやつね〜。でも今更ネギを怒るのも筋違いだし……このまま本当にキスの練習しちゃおう……)
 それは、突然のファーストキスで混乱した頭が生み出した、飛躍した考えだったかもしれない。
 ともあれ明日菜は、自らも目を閉じ、ネギのキスを受け入れた。
 男とはいえ、まだ幼いだけあってネギの唇は潤いに富んだなめらかさを持ち、唇を触れ合わせているだけでその体温と感触が心地よい。
 ネギとするだけでもこんなに気持ちがいいのだから、好きな高畑先生としたらどんなに素敵だろう。
 明日菜がそんなことを考えていると、彼女は上下の唇のちょうど合わさったところに、何か唇とは別のぬるぬるしたものが触れたのに気づいた。
 なんだろうと思っていると、そのぬるぬるとした暖かいものは唇を割り、軽く開いた前歯をするりと通って彼女の口の中に入ってきた。
(っ! これって、し、舌ぁ!?)
 びっくりしたが、既に前歯の奥に入っているものだから口を閉じるわけにもいかない。
 どうしようか焦っているうちに、舌はさらに奥へと入ってきて、明日菜の上あごや前歯の裏側をなぞりあげた。想像したこともなかったその感覚に、明日案の体がびくりと震える。
 ネギは顔を傾けながらさらに顔を寄せてくる。舌がさらに進み、ついに明日菜の舌を捕らえた。
 彼女の舌の先端に、小鳥がついばむようにちょんちょんと触れ、その形を確かめるようにゆっくりと全体を舐めまわし、最後には、とり込み一つになろうとするかのように絡ませる。
 ネギの唾液が舌を伝ってくるのがわかるが、明日菜は不思議と、それを汚いと思わなかった。ネギの舌が触れてくる部分から、神経を溶かすような、不思議な心地よさが伝わってくる。思いもよらぬディープキスの洗礼だが、明日菜はそれを受け入れていた。
 ややあって、二人はようやく唇を離した。
 明日菜は真っ赤な顔をしていて、呼吸をするたびに肩がわずかに上下している。緊張のあまり、キスの最中呼吸をするのを忘れていたのだ。
 ネギの方はというと、多少顔が上気しているものの、平然としているようだ。
「あの……」
「っ! あんたっ! どこでこんなキス覚えたのよ!」
 ネギの言葉を遮って、明日菜が大声を上げた。その剣幕に、ネギは思わずのけぞってしまう。
 ネギは後頭部に手をやりながら恥ずかしそうに答えた。
「いやあ……故郷で姉に……」
「あ、姉ぇ!?」
 今度は明日菜がのけぞる番だった。
「はい。実は僕、姉と二人暮らしなんです。それで、小さい頃から僕がさびしがっていると、姉がキスでなぐさめてくれたんです」
 明日菜は一粒汗を流しながら聞いていた。
(そりゃ白人とかって日本人より簡単にキスするみたいだけど、実の弟にあんなキス教えるなんてどんな姉弟よ……)
 とはいうものの、それを聞いて明日菜の中で、次第にネギに対する思いに変化が現れてきた。
 明日菜も両親がおらず、その寂しさはよく知っている。
 明日菜は再びネギに顔を近づけた。
「まあいいわ。練習の続きしましょう」
 そこには、『このままこんな子供にいいように翻弄されたままでは終われない』という勝気な笑みが顔をのぞかせている。
 今度は明日菜の方からネギに口付けた。
 さきほど自分がされたように、舌を伸ばしてネギの口の中をまさぐる。
 最初はおっかなびっくりな様子でそろそろと口の中のあちこちを舌先で舐めるだけだった。
 しかしそれによって、10歳の少年の口のサイズが思ったより小さいことに気づき、だんだんとその動きが大胆になっていく。
 最初、遠慮して明日菜にされるがままになっていたネギも、明日菜が次第に慣れてきたことに気づき、ネギの方からも舌を絡ませる。
 お互いに顔の角度を小刻みに変えながら、時に主導権を奪い合うように、時に共に協力してお互いの快感を高めあうかのように、二人は熱のこもったキスを続ける。
 唇から、舌から、時に勢い余ってぶつかりあう歯からすら、静かに熱い気持ちよさが流れ込み、明日菜の頭にはぼうっと霞がかかりはじめた。
 ちゅっ、くちゅ、っという単調な唾液のはじける音すらも、催眠術のように明日菜を溶かしていく。
 と、胸のあたりに何か感触。
 下目使いに見てみれば、ネギの右手の手のひらが、明日菜の発展途上の胸に押しつけられている。
 明日菜はちょっと眉を逆立ててキスを中止した。
「ちょっと……、胸まで触らせてあげるなんて言ってないわよエロガキ!」
 口調は強いが、目がとろんと溶けたままなのであまり恐くない。
「あ……すいません……やっぱり明日菜さんとキスしていると姉のこと思い出しちゃって……」
 と、こちらも夢うつつの表情で答える。
 一方明日菜は、ネギの言葉で少し『酔い』が醒めたようだ。頬をひきつらせながら言う。
「あんたね〜、そりゃイギリスの習慣なんて知らないけど、あんた、お姉ちゃんとナニしてたのよ」
「え?」
 と、ネギはきょとんとしている
 目の前の少年の、あまり意味がわかっていない様子にあきれる明日菜。と、彼女はネギのスーツのズボンにある脹らみに気がついた。
「あ──っ! やっぱりエロガキじゃないこんなにして! 何なんにも知らないような顔してんのよっ!!」
「え?」
 ネギは相変わらず何がなんだかわからないといった顔で、明日菜の視線を追って自分の股間を見る。
「わあああああああああっ」
 突然のネギ大声に、明日菜は思わず耳をふさいだ。
「あわわわわわどどどどどうなってるんですか明日菜さんこれどうなってるんですかっ!?」
 両手をバタバタさせ、瞳をうるませながら、すがりつくような視線を明日菜に送るネギ。その様子に、演技の気配はまるで無い。
 明日菜はふうっとため息を一つすると、肩をすくめた。
「なに? ひょっとして、こうなったのはじめてなの?」
「は、はいいいいいいい。イギリスにいた時は一度も……やっぱり日本の食べ物が体に合わなかったんでしょうか」
「んなわけないでしょ。そりゃあたしだって詳しいわけじゃないけど、ごくありふれたものよ」
「そ、そうなんですか……。それじゃあほっとけば治りますよね」
 明日菜の説明を聞いて、ようやくネギは落ち付いたようだ。
 さて明日菜は、ネギのうつむいて股間を両手で抑えている様子を見て、少しおかしくなった。
 やたら大人びたことを言うかと思えばろくでもない失敗をするし、とんでもない特技を持っているかと思えばこういう年齢相応の表情も見せる。
 子供は嫌いと公言する明日菜だが、ネギのことを見ているうちに、不思議な暖かな感情が胸のうちに湧いてくる。
(母性本能……なのかな)
 心の中でつぶやきながら、明日菜はしゃがんだ。ちょうど、ネギの股間の高さに頭がくるように。
「こうして見ると窮屈そうだけど……元に戻してあげようか?」
 頬どころか顔中真っ赤にして言う明日菜。
 一方ネギはというと、明日菜の言葉の意味を理解していないせいか
「お、お願いします! ありがとうございます!」
 と無垢な喜びの表情を見せる。
「言っとくけど、うまくできるかどうかなんてわからないわよ。あたしだって柿崎に聞いただけなんだから……」
 半ば独り言のように言いながら、明日菜はネギのベルトに手をかけた。
「え? あ、ちょっと」
 慌てて明日菜の手を抑えようとするネギを振り払う。
「何してんのよ、外に出さなきゃできないでしょ」
 他人のベルトを外すというはじめての経験に多少てこずりながらも、明日菜はブリーフごとズボンを足首まで引きずり降ろす。
「ひゃっ」
 と甲高い声で短く悲鳴をあげるネギ。彼の股間には、明日菜の中指を一回り大きくした程度のペニスが元気にそそり立っていた。まだきれいに皮が先端を覆っている。
 明日菜は間近でそれを見てしまい、思わずごくりと唾を飲み込んでしまう。汗と小水の臭いがかすかに彼女の鼻腔を刺激する。
(ひえー。でも大きくなってもこれぐらいかぁ。やっぱりまだ子供ね……。高畑先生とうまくいけばいずれこういう場面も出てくるわけだし、これも練習の一つ……)
 明日菜は親指・人差し指・中指の三本でつまむようにネギのペニスを握る。表面は柔らかいが、心棒が入っているように奥の方に堅さが感じられる。彼女は、かついて友人が秘密めいた口調で言っていた通りに、ネギの幼い性器をしごきだした。
「あっ……」
 ネギが声をあげる。明日菜はそれをかわいい声だと思い、さらに大きく、強くペニスをしごいた。
「あっ、あっ、あっ、アスナさん、なんか、変な……なんか出ちゃいます、ああっ」
 拳を握りしめ、ぎゅっと目をつむり、懇願するように言うネギ。
 明日菜は慌てて、片手でしごくのを続けながら、もう片方の手でポケットからハンカチを取りだして肉棒の先端にあてがう。
 その刺激が決定打となったか、白い液体が勢いよく飛び出てハンカチに斑点をつけた。
「ああ……」
 切なげなネギの声。それと共に、ネギのペニスが風船がしぼむように、急速に小さくなっていく。
「ふう……」
 明日菜は、ネギのものが完全に元のサイズに戻るのを見届けると、文字通り一息ついた。
(うまくいったようね……。でもちょっと早過ぎてものたりないかも)
 とそこで、自分がいかにはしたないことを考えているかに気づき、明日菜は自分をごまかすために慌ててネギのズボンを引き上げる。
 精液のしみ込んだハンカチの処置に一瞬困ったが、さすがに自分のポケットに入れるのはためらわれ、たたんでネギの上着のポケットに押し込む。
「あ、アスナさん、ありがとうございました」
 ようやく我に帰ったネギのお礼に、明日菜は「ん」とだけ答えると、ネギのズボンのチャックをあげてベルトを閉めだした。
 ようやく頭が冷静になってきたが、よく考えたらとんでもないことをしてしまったと少し後悔が湧いてくる。
 とその時。

 パシャ パシャ パシャ

 機械の作動音と共に、明日菜の背後、ネギの正面から短いが激しい連続した光。
「えっ……」
 振り向くとそこには、あるいは驚きの、あるいは好奇心に溢れた顔をした、クラスメートたち。(注)
 彼女らから見れば、明日菜はネギのズボンを下ろそうとしているように見えたことだろう。
「あ……」
「う……」
 額に汗を浮かべる明日菜とネギ。明日菜は思わず立ち上がってネギを抱きかかえてしまっている。
 クラスメートの中には委員長こと雪広あやかがおり、体と声を震わせながら言った。
「ア、アスナさんあなた……」
 そこでだだだっと階段を駆け下りて、明日菜の胸倉を引っ掴む。
「こ、こここんな小さな子を連れ出してあなたは一体何をやってたんですか──っ」
 あやかは涙目になっている。
「ち、ちが──」
「何が違うものですか。こ、こういうコトだけは絶対にしない方だと思ってましたのに」
「ご、誤解よ委員長」
 誤解でもなんでもないはずだが、明日菜も普段さんざんあやかのことをショタコンと馬鹿にしているし、それ以前に先生に手コキしたなんてことがばれたら退学モノだ。彼女も目に涙を浮かべるほど必死である。
「ほらあんた……じゃなくて先生からも何か言ってくださいよ」
 あやかの勢いに半ばかやの外だったネギは、突然自分にふられて「えうっ」と変な声を出した。
「言い逃れは見苦しいですわアスナさん!」
 さらにエキサイトするあやか。それと一緒になって、お祭り好きの鳴滝姉妹も盛り上がる。
「え……いや……」
 何と言っていいかわからず口ごもるネギ。
「ホラ先生早く!!」
 明日菜の声も一層、悲鳴がかってきた。
「その……」
 あまりの騒々しさに、とうとうネギの思考回路がパンクを起こした。
「きっ……き……記憶を失え〜〜〜っ!!」
「やめ───────い」
 

   第一話 終わり

注 原作をよく見るとこのシーンちょっとおかしいのです。フラッシュの光は明日菜の背後から当たっているので、いいんちょたちは階段の下の方の踊り場にいなければいけないのですが、次のページではネギの背中側、つまり上の方の踊り場にいます。


次回予告!
明日菜のために惚れ薬を完成させたネギ。しかしひょんなことからネギ自信が薬を飲んでしまう。図書館でネギと二人きりになった本屋が、惚れ薬の効果でネギに迫る。もし原作よりも、図書館の扉が頑丈だったら……? 乞うご期待!

 

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