ifネギま! 〜一話一妄想〜




第十四話



 明日菜・木乃香と共にあやかの屋敷へ家庭訪問を行うネギ。あれこれ騒動が起こった後、明日菜たちは帰り、ネギだけが残ることとなった。ネギはずっと前に亡くなったあやかの弟の代わりに、自分が弟の役を務めると言い出したのだが……。


「──というわけで、今日は一日僕がいいんちょさんの『弟』になりますよ。実のお姉さんとして何なりと僕に言いつけてください」
 ネギの言葉に、あやかはやや間を置いて問い返した。
「……何なりと?」
「はい。何なりと」
 己の言葉が秘めている危険性に気づいていないらしく、ネギは、ぐっと拳を握り締め、明るく答えた。
「ふふっ……ありがとう、ネギ先生」
 あやかは、肌の奥から光を放つような、やさしげな笑顔を浮かべた。
 いつも笑みを絶やさなかった、故郷の姉のような暖かな表情だ、とネギは思った。
 あやかはそんな、春の日のようなきらきらとした笑顔のまま、ネギの手を引く。
「では……さきほどの続きを……」
 そういうと、室内プールを出て、中学の教室とほぼ同じ幅のある廊下をずんずん進んでいく。
 ネギは一定間隔で飾ってある彫刻・絵画・陶磁器などに、もの珍しげに視線をさまよわせながら、あやかについて歩いていく。
「え? 続きってなんですか」
 なぜかあやかは答えなかった。どういうわけか、ネギの手をひくあやかの手のひらがさきほどに比べて熱くなっている。汗ばんだ感触すらしていた。
 しかしネギはこの時、悠長にも『さっきの続き』というのはクッキーとお茶のことだと思っていたのである。歩いている先が、先ほどお茶をご馳走になったあやかの部屋の方向だったこともある。
 ややあって、あやかはとうとう一つの扉の前で止まった。
 精緻な細工を施されたドアを開けると、中には豪奢な天蓋のついた大きなベッドがどんっ、と鎮座している。
 それ以外には、ボックスハンガー・鏡台・フロアランプ、それにごく小さなテーブルと椅子が配置されている。
 さっきとは違う部屋だったのだ。
「あのっ」
 ネギの言葉を遮るように、あやかが部屋の東側をきっと睨んだ。さきほどの、女神を思わせる笑顔とは対照的な、鋭い視線である。
 すると、テレポートしてきたとしか思えない唐突さでメイドが三人、部屋の隅に『出現』した。
 あやかが睨んだ東側は、壁の八割が巨大な窓になっていて、外から光を豊富に採りいれている。そのため、天井の明かりをつけていなくても充分にこの部屋は明るかった。
 二人のメイドは、あやか達にむかってぺこりと完璧なお辞儀をすると、機械のように無駄の無い動きで、窓の両端にまとめられているカーテンをほどいた。
 外側の絨毯のように分厚いカーテンと、内側のレースのように薄いカーテンを同時に閉める。部屋の中がさっと薄暗くなった。
 薄明かりの中、一人がカーテンの合わせ目を結び、もう一人はベッド脇のフロアランプの明かりをつける。
 カーテンが開いていた時に比べればずっと光量の押さえられた照明となり、この部屋はいっきに寝室らしさを増した。
 メイドたちは作業が終わると、再び部屋の隅へと戻る。完全にシンクロした動きで一礼をすると、そのまま音も立てずに『消失』した。
「その、」
 『今のはなんですか』と聞こうとしてネギは言いよどんだ。たぶん『ただのメイドです』と答えられるに決まっているからだ。
 それでも割りきれないものを感じ、物を言いたげにあやかの方を見上げていると、あやかもまた、ネギの方を見下ろした。
 その瞳が、ギラギラと飢狼のごとき光を放っている。ネギはその不穏な視線に、思わず一歩さがるところだった。
 たぶん、薄暗い明かりの関係でそう見えるだけだろう、と、無理矢理に自分を納得させるネギ。
 しかし、あやかに握られた手に感じる、『絶対に逃がさないぞ』という意思がこもった力と熱は紛れも無い。
 あやかは前方に向き直ると、ベッドに向かって一直線に歩き出した。
「あれ、そっちはベッドじゃ……」
 無言でベッド脇までネギを連れてくるあやか。
 と、突然ネギと相対したかと思うと、ネギが羽織っている上着を脱がした。
「あ、何するんですか!?」
 ようやく彼は、危機感を感じたようだった。しかしあまりにも遅過ぎる。
 上着が床に落ちるのもまたずに、彼のトランクス型の水泳パンツをひきずりおろす。ネギの年相応の、可愛らしいとすらいえるペニスがむきだしになる。
 あやかはすっと手をネギの股間に伸ばし、その少年らしいペニスに指先で触れた。
「キャ…キャ───ッ」
 女の子みたいな甲高い声をあげて、ネギは飛びのいた。内股になり、両手を股にやって股間を隠す。
 非難と怯えが混じったネギの視線を受けて、あやかは「ほほほ」と笑った。
「冗談ですわよネギ先生」
 が、その目がまるで笑っていない。というか、あからさまに血走っていてかなり怖い。
 ネギは退路を確保しようと、さっき入ってきたドアに目をやる。するとその途端に、半開きだったドアがバタンと閉まった。ご丁寧にも、かちゃりと鍵のしまる音。まるでホラー映画だ。
 ネギが口をあんぐりと開けている間に、あやかは手早く両手を後ろにまわし、ビキニの上を取り払った。大きさと形の良さを兼ね備えた、見事としかいいようがない乳房がこぼれ出る。
 充分に大きいふくらみだが、折れてしまいそうなほど引き締まったウエストのために、実際よりもさらに豊満さが際立っている。
 肌の白さ、上品な色・サイズの乳首と合わせ、息を飲むほど美しい。
 ただ惜しむらくは、その先端の桃色の部分が言い訳できないほどに勃起しており、芸術品というには淫靡さが過ぎることか。 
 続けて、あやかは水着の下も脱ぎ捨てた。
 すでに成熟しきっている上半身同様、下半身も女性らしくむっちりと肉がつき、股間を覆う陰毛も黒々としている。
 しかしそこは大富豪令嬢のたしなみか、下の毛はきっちり三角形に手入れされており、いやらしさを感じさせない。
 肉がついていると言っても当然それは体のラインが理想的な丸みを帯びているという意味である。
 特に太ももの辺りは、男ならば誰でも挟まれてみたいと思うほど、量感と脚線美を両立させている。
 なお、この時ネギは気づいていなかったが、メイドが一人、あやかのすぐ後ろに出現していた。
 手にネギとあやかの服を持っている。ネギのスーツはこの短い時間でどうやったのか、クリーニングの上糊付けされ、さらにビニールできちんと包装されていた。
 メイドは二人の服をテーブルの上に置くと、床に散らばっているネギとあやかの服をおそるべき手際の良さで回収すると、姿を消した。
 出現から消失まで、実に2秒を切っている。
 あやかがいつの間にか全裸になっているのを見て、ネギは急いで視線をそらした。できれば両手で目を覆いたいところだが、それだと自分の肝心な部分が無防備になってしまう。
「い、いいんちょさん!? なにやってるんですか!」
「ふふっ……私、実は弟と一緒に添寝をするのが夢だったんです。ネギ先生が弟代わりになってくださるというので早速……」
「でもなんで裸になるんですかーっ」
「ああ、我が家では、寝る時に身につけるものは、香水だけですのよ」
 マリリン・モンローみたいなことを言い出すあやか。
 そして有無をいわさずネギを抱え上げる。
 ほぼ同時に、もはやおなじみとなったメイドがベッド脇に出現し、かけ布団を大きくまくりあげた。
 ネギを抱えたあやかが、そこに倒れ込むと、メイドは彼女らの上に布団をかぶせ、フロアランプの明かりを最小にしてから消えた。
「ええ!?」
 あまりの手際のよさに、いったい何が起こったんだがわからず、ネギはあやかに抱きかかえられた状態で硬直してしまう。
「ネギ先生、ああ、ネギ先生と同じ布団に入れるなんて、夢のようですわ……」
 感極まった声で、あやかはネギの耳元にささやきかける。
 耳元に熱い吐息が吹きかけられ、ネギは「あ……」とまたも女の子のような声を出してしまう。
 その様子にますます興奮したのか、あやかはさらに自分の体をネギと密着させた。
 右手をネギの背中にまわして自分の方へと押しつけつつ、左手は彼のサラサラした前髪を愛しげに何度もすく。
「ネギ先生……おやすみのキスをしてよろしいですか……」
 ぐっと顔を近づけ、ハァハァと呼気に熱を帯びさせながら、あやかが言う。闇の中にあやかのらんらんと光る両目が浮き上がり、その迫力に思わずネギはうなずいてしまった。
 彼が首を縦に振るやいなや、あやかはネギの顔に吸い付いた。
 まずは髪の毛からはじまって、こめかみ、額、まぶたの上、頬と順々に、ありったけの熱意を込めてキスを連発する。お休みのキスにはとても似つかわしくない、情熱的な口付けだった。
「んむむむむむむむむっ」
 ついにキスの雨が唇に到達すると、あやかは躊躇無くネギの口に舌を突っ込む。
 顔を傾け、舌を伸ばせるだけ伸ばした上で、じゅるじゅると音まで立ててネギの唾液を飲み込んだ。
「ああ、ネギ先生、ネギ先生……!」
 息継ぎに口を離した時にも、愛しい相手の名を呼び続ける。そして再び、猛烈なディープキスを再開した。
 唇を貪る間も、あやかは自慢の胸をネギにぎゅうぎゅうと押しつけ、足と足をからませ、自分の濡れた股間を相手の太ももにこすりつけている。
 全身であやかの愛にさらされ、ネギの幼い体も性欲を目覚めさせられてしまった。
「……? まあ、ネギ先生これは……」
 あやかが、キスを中断した。激しいキスのため酸欠でぼぅっとなっているネギは、何だろうと思う。
「嬉しいですわ。ネギ先生も興奮なさっておられるのですね……」
 そう言うと、あやかはネギのペニスを握った。
「あっ」
 股間に走った激しくも甘い感触に、ネギは顎を跳ね上げる。
 彼のそこは、あやかの全身を使った愛撫にしっかりと応え、子供とは思えないほどに膨張していたのだ。
「あ、あ、すいません」
 薄明かりでもわかるほどに顔を真っ赤にして、思わずネギは謝ってしまった。
「ふふ、あやまることはございませんよネギ先生。こんな立派なものをお持ちになっておられるなんて……」
 あやかは言いながら、ネギのペニスの大きさや硬度を確かめるように、握ったものをぐにぐにと動かしたり強く握り締めたりした。
「あーっ、いいんちょ、さん、そんな、ダメぇ」
 肉棒を激しく手淫されるたびに、ネギは身をのけぞらせ、もだえさせながら甲高い声で叫んだ。
「あら、ネギ先生、お辛いのですか? それでは不肖ながら私が楽にして差し上げましょう」
 そう言うと、あやかはいったん手を離したかと思うと、ふとんの中に身をもぐりこませた。
 かけぶとんがもぞもぞと、足元の方に動いていくのを見ながら、ネギはいったい何をするのかといぶかった。ろくでもないことであることだけは予想がついたのだが。
 ネギの予感は、ただちに実証された。
 再び、ネギの痛いほどに勃起したペニスに、甘美な衝撃が走ったのだ。
 信じられないほど柔らかく、かつ弾力に富んだもので竿の部分が挟まれ、亀頭は熱く濡れた何かで覆われている。
 竿がその柔らかいもので上下にしごかれ、尿道口を濡れたものが撫でた。
「ふぁぁぁぁぁぁっ」
 あまりの快感に、ネギは大きくのけぞった。なおも送られてくる激しい刺激にのたうちまわりながら、かけ布団を大きくはねのける。
 そこには、自分の豊満な乳房でネギの最大限にまで膨張した性器をはさみ込み、先端を上品な口でくわえ込んでいるあやかの姿があった。
 あやかは上目使いにネギを見ると、目だけで笑い、猛然とパイズリフェラを開始した。
「あぁぁぁぁっ、だめ、だめ、ダメぇぇぇっ!」
 極上の胸でしごかれ、柔軟な舌全体で敏感な亀頭をなぶられ、ネギは首を左右に激しく振って暴れる。
「ああ、あああっ、そんなっ、許してぇぇっ!!」
 まるで拷問でも受けているかのように、ネギは絶叫した。目元に涙を浮かべ、悲鳴をあげつづける。
 しかし彼が苦痛ではなく快感を感じていることは、ペニスの先端からあふれ出る透明な液体からも明らかである。
 女性の愛を受け受け止めるとこに不慣れなネギは、あっという間に達してしまった。
「出るっ、出ちゃうよ、いいんちょさん、口を離してぇ───っ」
 こんな時になっても、ネギはあやかの口に自分の汚いものを出してしまうことを、気遣っていた。
 が、当然ながらあやかがネギの精液をいやがるはずが無い。
 勢いよく噴出される白い粘液。それを彼女は一滴も残さず口で受けとめた。
 舌の上で粘つく白濁液を、あやかは転がしたり何度か噛んだり、普通だったらすぐに吐き出してしまうほどきつい味と臭いを思う存分楽しんだ。
 そして、まるで一気に飲み込んでしまうのがもったいないというように、何度かにわけて飲み込む。
 それでも物足りないのか、ネギの亀頭に残ったものをきれいにし、さらに尿道をストローのように吸い上げたりもした。
 ようやく、息を吐いてネギのペニスから口を離したあやかは、目元を赤らめて言う。
「たいへん結構なものを、ご馳走様でしたネギ先生」
「あ……その、お粗末様でした……」
 ネギはぐったりとした様子で、なんだかとんちんかんな返答をした。
 あやかに精液どころか、精力まで全て吸い取られたといった具合である。

「ふふ、それでは今度こそちゃんと寝ましょうか」
 あやかはさっきネギがはねのけたかけ布団を手にすると、それと共にネギに覆い被さってきた。
「え、うわぁ、ちょっと」
 再び狼藉がはじまるのかと、ネギは力の入らない体でなんとか身構えようとする。
 そこに抱き付いてきたあやかはしかし、胸を必要以上に押し付けるわけでもなければ、ネギの体をまさぐったり、股間にタッチしたりすることもなく、ただ優しく彼を抱きしめているだけだった。
 ネギがそっと、あやかの表情をうかがうと、そこには憑き物が落ちたように、柔らかい笑顔が浮かんでいる。
 何年にも渡って蓄積されてきた少年愛が満たされ、即物的な愛情の形をとらずとも、満足したということなのだろうか。
 ネギはあやかの急変に多少とまどいながらも、目を閉じて言った。
「おやすみなさい、お姉ちゃん」
「おやすみなさい、ネギ」

 一時間半ほど眠りについた後、目覚めたあやかは、素直に明日菜への謝罪の言葉を口にした。


   第十四話 終わり


次回予告!
姉からパートナーを探したらと手紙がきた。が、その内容が生徒たちに伝わるうち、ネギが結婚相手を探しているという話になってしまう。みんなから逃げる途中、木乃香に会ったネギは、彼女がお見合いを嫌がっていることを知る。もし、木乃香がネギを結婚相手にしようとしたら……? 乞うご期待!

 

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