ifネギま! 〜一話一妄想〜




第十九話



 エヴァとの対決を控え、カモという新たな仲間を得たネギ。カモはクラスの中に、運命的なパートナーがいると言い出し、のどかこそがその相手だと断言する。出会った当初から、なにやら不審な様子のカモは、とあるはかりごとを実行に移すのだが……。

 一日の授業を終え、ネギは長大な杖を片手に、学校の広場を歩いていた。
 授業そのものは、特に大過なく終わったが、教室にいないエヴァのことが気にかかっていた。
 魔法使いとしてはなるたけ近付きたくない相手だが、教師としては生徒のサボタージュを許しておくわけにはいかない。
 しかし、実戦に未熟な上に、従者のいないネギではエヴァに言うことをきかせることなど到底できるはずもなく……。
 高い陽射しの下、自らの短い影を見つめるようにして、ネギはとぼとぼと歩く。
「兄貴兄貴────ッ」
 堂々巡りの思考を打ち壊すように、けたたましい声が向こうからやってきた。
 はっと顔をあげると、カモがほとんど二本足で立つようにして猛然と駆けてくる。
「あ、カモ君なんで学校に!? ダ、ダメだよ大声出したら」
 幸い辺りに人はいなかったが、しゃべるオコジョと暮らしていることがばれたら、ネギ自身がオコジョにされかねない。
 しかしカモは、冷や汗を流してキョロキョロするネギの注意など聞こえなかったかのように、大声かつ早口にまくしたてた。
「大変ッスよ、例の宮崎さんが」
 『宮崎さん』の一語で、ネギは周囲を気にする余裕を一発で失った。
「み、宮崎さんがどうしたの!?」
 待ってましたとばかりに答えたカモの言葉を、ネギは思わずオウム返しした。
「え────っ!? 寮の裏手で不良にからあげされてる〜〜〜!?」
 ネギの頭に、その光景が浮かぶ。
 寮の建物で陽の当たらない、草だらけのスペース。
 ごうごうと火の粉を吹き上げる焚き火の上に、中華鍋の王様みたいなものが吊られている。
 剣山の代わりに使えそうなほどガチガチに固められたリーゼントの不良(ネギが学んだ不良に関する情報はやや古いようである)が数人、鍋のまわりでたむろしている。地べたに腰を下ろす者、ポケットに手を突っ込んで煙草を吹かす者、ウンコ座りでダベる者……。
 そんな中に、のどかが一人、体をぐるぐるに縛られて転がされていた。その体には、小麦粉が軽くまぶしてある。
 不良の一人が、鍋の中をのぞきこむ。猛烈に煮えたぎっており、湯気で向こう側の景色がゆらゆらと動いていた。
 鍋を見ていた不良は、後ろを振り返って大声で叫んだ。
「よーし、からあげじゃぁぁぁぁっ!!」
「オウッ!」
 威勢良く応えて、二人の不良が、のどかの頭と足を持った。恐怖に大きく目をむいているのどかは、喉が痙攣しているのか声も出ない。
「からあげいくぜぁっ!」
「オス! からあげからあげぇぇぇ!」
 二人の不良は、のどかの体を何度か上下に揺すって勢いをつけると、
「からあげ! セイッ!!」
 という掛け声と共に放りあげた。宙を舞ったのどかの体は、次の瞬間熱い油のしぶきをあげて鍋の中へと……
「かつあげッス、かつあげ!」
 カモの声が、なんだか妙な世界に逝きかけたネギの勘違い(というかわけのわからない妄想)をストップさせた。
「えっ? ああ、かつあげか。そりゃあ大変だ!」
 ネギは顎の前で拳をぐっと握り締め、布に包まれた杖を握る手に、力を込めた。
「それでカモ君、かつあげって何!?」
 二本足で立っていたカモは、ずるっと片足をすべらせて、舗装された地面にぱったりと倒れた。
「ああっ、ごめんカモ君。でも僕、まだ日本の風俗にそれほど詳しいわけじゃなくて……」
 ずっこけている場合ではないと、カモはヒゲの横辺りに汗を流しつつ、ガバっと身を起こす。
「兄貴、しっかりしてくださいよ。かつあげってのは……」


 学校から寮への帰り道、ひゅうっとつむじ風が吹き、のどかは慌ててスカートを押さえた。
 ほとんど顔の上半分が隠れるほどに伸ばされた前髪が、いっぺんに全部はねあがるほどの強風だ。
 ようやく風がおさまると同時に、あまり品性を感じさせない声が響いた。
「おー、かーわいいーじゃん」
 まさか自分のことを言われているとは思っていないこのどかは、野卑な声の方向に思わず振り向いてしまう。
 おそらくは高校生くらいの男二人組。両方とも髪を茶髪にしており、片方は耳に大きなピアスを、もう片方は派手なチョーカーをしている。
 のどかは、この年齢の少女には珍しく若者のファッションについてはあまり興味がない方だが、かかわりあいにならない方がよい服装だ、と判断した。
 しかしいきなりここで駆け足になるのも失礼だ……などと思っていると、二人組は平気でのどかにずんずん迫ってくる。
 あっという間に距離を詰められ、のどかは二人組に挟まれる形になった。
「君、かわいいねぇ。もっと前髪短くすればいいのに」
 ピアスをしている方が、無礼にものどかの頭に手をやり、前髪をかきあげた。
 突然のことに、戸惑いと怖れをにじませた瞳があらわになる。
「あの………や」
 『やめて』言おうとしたのをさえぎるかのように、ピアスの男は言った。
「あ、君中学生かな? 帰り道? 俺らと一緒にちょっとどっか行こうよ」
 強引に、のどかの腕を掴む。口調は軽いが、その握力には有無を言わさぬものがあった。
 チョーカーの男は、二人のやりとりの間、辺りをみまわしていたが、一緒になってのどかの反対側の腕を掴む。
「まだ夜まで時間はあるから心配することないって」
「そうそう、はい決まり〜」
 ピアスの男は一方的に言うと、小さくもごもご言っているのどかを強引に引っ張っていく。
 もしここで、のどかが大声を出して無茶苦茶に暴れれば、あるいは男たちも諦めて退散したかもしれない。
 しかし、このような強引な誘いを断ることが、友達同士の間ですらなかなかできないのがのどかである。
 また、寮生活が長いせいか、頭の中で『一線は越えないだろう』『犯罪に自分がまき込まれることは無いはずだ』という根拠の無い思い込みがあった。
 のどかが多少いやがるそぶりを見せつつも、ついてくるのを見て、ピアスの男はさらに調子に乗ったようである。
「よーし、それじゃどこ行こうか? いきなりホテルなんて大胆かな〜」
 ホテルという言葉に、のどかの体がビクリと震える。
 助け船を出すかのように、チョーカーの男が言う。
「つーかよ、俺ら2ケツしてきたんだからこの子連れてけねーよ」
 その言葉を聞いて、ピアスの男は、ピタリと歩みを止めた。
「あー、そっかー。そりゃそうだよなぁ」
 ほっとのどかが力を抜いたのも束の間、ピアスの男は
「じゃあ手近なところで済ますか」
 そう言うと、さきほどに増して強い勢いでのどかの腕を引っ張っていく。チョーカーの男も、後ろからのどかの首根っこをがっちりと掴んでぐいぐいと彼女の体を押した。
 腕と首を掴まれる力の強さから、男たちの邪な思いが伝わってくるようだった。しかし今度は、ここで抵抗しようものなら暴力を振るわれるかもしれないという恐怖が、のどかの口を閉ざしていた。
 彼らは寮の方へ向かうと思われたが、途中でわき道に入った。圧迫するような高い塀に左右を挟まれた細い路地を抜ける。
 一瞬どこだかわからなかったが、寮の裏手である。
 ボイラー室と貯水タンク、焼却炉などがあるが、普段はまったくと言っていいほど人がこない場所だ。のどか自身、寮に二年間も暮らしていながら、こんな場所に来たのは初めてだった。
 二人はただでさえ人気のないそこをさらに進み、いっそう奥まった場所へとのどかを連れ込んだ。
 寮の北側にあるため日があたらず、いじけた雑草がしょぼしょぼと生えたそこは、じめついたアウトローの臭いがした。
 ろくな抵抗もせずにのこのことついてきてしまった彼女だが、ここに至って、自己防衛の意識がようやく、固定観念と恐怖心を打ち破った。
「たす……!」
 みなまで言わせず、ピアスの男が掌底を叩き込むような勢いで、のどかの口を覆うように顎を掴んだ。
 そのまま顔を握りつぶされるのではないかというぐらいの、ものすごい握力だ。
 意味のある言葉を発するどころか、うめき声すらろくにあげられない。
 片手でのどかの顔面をホールドしつつ、ピアスの男はのどかの制服のボタンを外して前を開けた。
 シャツのボタンまで開けるとその中に手を差し入れる。おぞましい指先が、ブラを引き毟るように外す。
 のどかのクラスメートの中には、すでに大人顔負けのスタイルを持つ者も多いが、彼女自身はクラスでもささやかな胸の持ち主である。
 申し訳程度にふくらんだ胸と、その先端の、幼さを感じさせるピンク色の乳首が、男二人の視線にさらされた。
 顔は動かせないものの、肌に触れる感触からそのことを知って、のどかは頭に血を昇らせた。
 ピアスの男は、いきなりその可憐な乳首を親指と人差し指でつまむと、思いっきり潰した。
「〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ!!!」
 猛烈な激痛に、のどかは大きく目を見開いた。大粒の涙が、一気に溢れ出てくる。封じられた悲鳴が、のどの奥で暴れまわる。
「痛い?」
 ピアスの男が、当り前のことを聞いてくる。
 のどかは首を縦に振ろうとしたが、がっちりと顎をおさつけられているためにそれはできなかった。
 しかし手にかかる力でわかったらしく、ピアスの男はニッコリと笑った。のどかは、これほど笑顔を恐ろしく感じたのははじめてだった。
「痛いんだ。じゃあ、もっと痛くしてあげようね」
 ぐいっとひねりを加え、さらに思いきり引っ張った。
「!!!!!!」
 一瞬気が遠くなるほどの痛みが、のどかを襲った。目の前に火花が散る。涙がとめどなく溢れる。歯をぐっと食いしばって耐えるが、それでも神経に直接火箸を当てられているかのようだ。
 ちぎれる……!
 本気でそう思った瞬間、ピアスの男はぱっと乳首を離した。
 激痛の余韻にあえぐのどかに、ピアスの男は優しげな口調で言った。
「暴れたり騒いだりしたら、次は本気でやるから」
 その一言で、のどかは抵抗する気力の最後の一滴まで失った。

 二人の男は、ショックで木偶人形のようになっているのどかを、手慣れた様子でを脱がしていく。その間、のどかは一切の抵抗をしなかった。
 脱がされたのどかの服をシートのように引き、その上に仰向けで寝かされる。
 空はまだ明るい。白昼にこんな目に会っていることが、のどかにはとても信じられなかった。
 横になった途端、ピアスの男が唇を奪ってきた。
 ファーストキスをこんな形で経験してしまったことに、のどかがショックを受けていると、ピアスの男はのどかの下顎を掴んで引っ張る。
 口を開けろという命令だと半秒ほどかかって察したのどかは、大人しくそれに従う。さきほど暴行を受けた乳首は、まだじんじんと鈍痛を彼女に訴えていた。
 のどかが前歯を開くと、待ち構えていた男の舌が遠慮無しに入ってくる。
 我が物顔で口の中を這い回り、のどかの舌を捕えて思う存分もてあそぶ。
 涙をぽろぽろと流しながら、のどかはピアスの男が流し込んでくる気味の悪い唾液を飲み続けた。
「おいいい加減どけよ。俺が胸を楽しめないだろ」
 しばらくして、チョーカーの男がそう言った。
 ピアスの男は、ようやくのどかの唇を解放すると、チョーカーの男の方に向き直る。
「すまねー。中学生の唇なんかしばらく味わってねぇから夢中になっちゃったよ」
 照れたように笑いながら、ピアスの男はのどかの体から離れた。
 すぐさまチョーカーの男が、彼女の体にのしかかってくる。
 この男もキスを強要するのかというとそうではなく、彼は真っ先にのどかの薄い胸にむしゃぶりついた。
 先ほど言った通り、のどかはかなりスレンダーな体格である。
 しかも仰向けに寝かされているせいで、ただでさえ薄い胸の肉が横に流れてしまい、ほとんど少年のような体型だ。触ればそこに女性らしさの萌芽があることはわかるが、少し強く押せばすぐに肋骨に当たってしまう。
 しかしチョーカーの男は、そんなわずかな脂肪をかき集めるようにして、のどかのささやかな左の乳房を揉む。
 もう片方は、赤ん坊のように……という言うには少々激しい勢いで、のどかの乳首を吸っていた。
 唇と舌で舐めまわされ、ときおり下品な音を立てて吸われているのは、さきほどピアスの男に痛めつけられたほうである。
 舐めまわすといっても、動物の母親が自分の子供の怪我を舐めて癒してあげる時のような、優しいものではない。
 肉食獣が、哀れな獲物を貪っている時のような、獰猛な愛撫だ。現に、ときおり肌に跡が残るほど強いキスを胸のまわりにされたり、清純な色の乳輪に歯を立てたりしている。
 こんな愛撫と呼ぶには愛が無く、撫でるという形容も生易しい荒々しい扱いで、のどかが感じるはずもなかった。ただ悔しさと痛みに耐えるのみだ。そして耐えられなかった部分が涙となって流れ落ちていく。
 あまりにチョーカーの男が熱心にのどかの胸を陵辱しているので、ピアスの男は少しからかい気味に言った。
「つーかさー、そんな小さい胸でよく楽しめんな。胸フェチっつったら普通巨乳マニアだろ」
 チョーカーの男は、いったん口を離し、それでいて手で胸をこね回すのは止めようとせず、答える。
「俺は大きさにはそんなにこだわり無いんだよ。形、色、張り、弾力、そういう方が大事なの。カップ一点突破なんざ素人だ」
「乳に素人もプロもねえだろ。俺にはよくわからんなー。大きい方が揉み応えがあるじゃん」
「それはお前がマザコンだからだよ」
「それじゃお前なんかロリコンじゃねーか」
 二人は肩を震わせて笑ったが、のどかには何が面白いのかまるでわからなかった。好き放題されているはずの自分の体が、他人の体になったようだった。
 再びチョーカーの男は胸に暴力的なキスを加える作業に戻ったが、ピアスの男の方も体を動かす気配があった。
 チョーカーの男の陰になって直接は見えないが、両足首を掴まれる感覚があり、次いで大きく足を開かれ、膝を折り畳まされた。いわゆるM字開脚である。
 女性がもっとも隠しておきたい場所を強調するはしたないポーズを取らされて、現実感を喪失したはずの彼女に、猛烈な恥ずかしさが戻ってくる。
 ピアスの男は、その染められた髪の毛が見えているだけだが、のどかの股間をじっと見つめていることは、熱い視線からわかってしまう。
「んだよ、濡れてねー」
 面倒くさそうな声。その直後、股間に生暖かい、濡れたものが押しつけられた。
 一秒ほどかかって、ピアスの男が自分の性器を舐めまわしているのだと、ようやく気付く。
 はっきり言って気持ち悪いだけの行為だったが、それが意味することを察してのどかは慄然とした。
 この二人組、どちらも自分さえ気持ちよければよく、のどかを感じさせようとか、そういうことは欠片も考えていないことは明らかである。
 つまりピアスの男のクンニリングス(のどかはこんな言葉を知らないが)は、のどかを愛撫するために行っているわけではなく……
 そこまで考えた時、のどかの予想を裏付けるかのように、体を引き裂くような猛烈な痛みが股間を襲った。
「あがっ…………!!」
 大声を出さなかったのは、ピアスの男の脅迫を覚えていたからではない。
 本当に痛いと、声を出すこともできなくなるのだ。
 先ほど、乳首に乱暴された時をも上回る激痛が、全身を駆け巡る。歯を食いしばり、全身の筋肉を硬直させるが、それでも受け止めきることができないほどの苦痛だった。
 痛みの信号で脳が一杯になり、頭が破裂しそうだ。自分が処女を失ったことを認識する余裕すら持てない。
「おおっ、狭い〜。しかも処女〜」
 楽しげにつぶやきながら、男は腰を使い出した。
 のどかの体のことなどまるで気遣っていないことがわかる、荒々しい動き。
 肉の裂からる痛みに加え、骨のきしむ痛みまでもがのどかをさいなむ。意識を失っていないことが、不思議なくらいだった。
 永遠と思えるほど長い苦痛と恥辱の末、のどかは体内の奥で、おぞましい暖かさを持った何かが放出されるのを感じた。
「ふぅー」
 と大きなため息をついて、ピアスの男がペニスを引きぬく感触。
「う……うあっ…………」
 その途端、のどかは嗚咽を漏らした。
 全身を荒らし付くした痛みの暴風雨が去って、ようやく自分が初めてを略奪されたこと、膣の中に精液を出されたことを理解してしまったのだ。
 両手で顔を覆うようにして、しゃくりあげながら、のどかは泣いた。
「あ〜あ、泣いちゃった。なんか醒めちゃったなー」
 ピアスの男が、自分勝手な言葉を言う。それに対するチョーカーの男の台詞も、同じくらい自分勝手だった。
「てめ、自分だけ出しといて何が醒めちゃっただ。相談もなく先に犯すしよぅ」
「だってお前、この前はお前が先にやったじゃん。順番的に俺じゃん。相談するまでもなく」
「だからって先にする方がコンドームつけずにやるか普通。見ろよ、お前の精液と血でぐちゃぐちゃじゃねーか。こんなところに突っ込む身にもなれよ」
「じゃあ、帰るか」
「ふざけんな、犯るよ。お前は罰として見張り」
「そんなに怒んなよー。見張りやるからさ」
 のどかの受難は、まだ終わりを見せなかった。
 

「きゃあああああああっ!!」
 と叫んだのはカモの話を聞き終えたネギである。両手を頬に当て、顔を真っ青にし、ムンクの『叫び』みたいになっている。
「か、かつあげがそんな意味だったなんて……!」
 つぶやくネギから、カモは思わずすっと視線をそらした。
 話している途中から、実は気付いてはいたのである。いくらネギの危機感を煽るためとはいえ、話が過激になり過ぎていることに。
 しかし調子に乗って大風呂敷を広げている時、その勢いはなかなか止められるものではないのだ(作者談)。
「ほんとに宮崎さんがそんなひどい目に!?」
 まさかウソとは言えなかった。しかし『はい』と答えてもネギの心に深刻なトラウマを残しそうである。
「まあその……ほうって置いたらそうなるってことですぜ!」
「な、なんでそんなことがわかったの!?」
 ひょっとして兄貴は、何もかも分かった上でオレっちを試しているんじゃないのか? などと思いつつ、カモはさらに苦しい言い訳をひねり出す。
「え…えーと能力だよ、おこじょの特殊能力」
 しかし、ネギにカモの言葉を吟味するような余裕(あるいは世間擦れした感覚)は無かったようだ。
 すぐさま杖を包んでいた布をほどき、人に見られている可能性も振り払ってまたがった。
「と、とにかく行くよっカモ君!!」
「そーこなくっちゃ兄貴!!」
 カモは内心ほっと胸を撫で下ろしつつ、ネギと並走するため四つ足で地面を勢いよく蹴った。


   第十九話 終わり


次回予告!
 エヴァと茶々丸を倒すため、ネギは明日菜と仮契約を行った上で、2対1で各個撃破する作戦に出た。運良く茶々丸が一人になったので、尾行を行うネギたち。しかし茶々丸は、街の人々や動物に奉仕する人気者だった。もしそんな茶々丸が、一人身の若い男のためにも奉仕をしていたら……? 乞うご期待!

 

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