ifネギま! 〜一話一妄想〜




ifネギま! 〜 一話一妄想 〜



第三十二話



 木乃香を誘拐し、関西呪術協会を支配しようとたくらむ謎の勢力。その中の一人、呪符使いの天ヶ崎千草は旅館潜入を図る。彼女は刹那対策にもう一人の仲間を呼び寄せているのだが……。

 つばの広い古風な帽子をとって挨拶すると、目の前の肩を大きく露出した女性は不審な顔つきをした。
「どうかなさいまして〜?」
 帽子を胸にあて、にっこりと笑って言う。
「いや……思ってたよりあんたが若かったもんで……。まあええわ。天ヶ崎千草や。よろしく」
「こちらこそ。月詠いいます〜」
 ぺこり、と頭を下げた。
 頭をあげてみると、千草は腕を組んでまだ月詠のことをじっと見つめている。
 千草は多少、ためらう様子をみせたが、やがて言った。
「こんなこと言って気ぃ悪くされたらかなわんのやけど、あんたそこそこ腕はたつんやろな」
 ニコニコしながら月詠は答えた。
「まかせてください〜。そりゃあ師範クラスと正面からやりおうたらどうかわかりまへんけど、大抵の相手でしたらなんとかなりますえ。普通、神鳴流剣士は大柄で大雑把な化物専門ですから、ウチみたいに小柄で小回りの効く相手は苦手のはずですえ〜」
 千草はなおも思案顔だったが、やがて一つため息をつくと、懐から封筒を取り出した。
「まあええわ。餅は餅屋……神鳴流は神鳴流にまかせることにします」
 封筒を受け取った月詠は、さっそくそれを開けてみる。中には地図と何枚かの写真が入っていた。
「地図に印をつけておいたから、今夜はそこで待機。写真は、まあ知っとると思うけど木乃香お嬢様と、邪魔者の西洋魔術師、そしてあんたが相手する神鳴流の剣士や」
 月詠は、地図をざっと眺め、3枚の写真を手早くめくる。木乃香はこの世界では有名人だからもちろん顔は知っている。西洋魔術師というのはなんのことはない、ただの眼鏡をかけた可愛らしい少年だ。
 最後の写真を見て、月詠の手がピタリと止まった。
 隠し撮りしたものらしく多少画像が荒いが、髪の毛を横に縛った凛々しい表情の少女の横顔が、月詠の目を一発で捕らえてしまった。
「こ、このお方のお名前は……?」
「桜咲刹那や。名前なんか気になるんか?」
「桜咲刹那はんかぁ〜」
 うっとりと、月詠はつぶやいた。
 声に出してみるとその名前は、鋭く、速く、強く、そして華麗に思えた。
 名前通りの腕前だといい。少なくとも、名は体を現している。
 この写真ではどこか別のところに向けられている、刺すように鋭い視線が、自分に向けられたら。
 月詠は、背筋にを熱い寒気がよぎるのを感じ、頬を紅潮させた。
 胸の奥から、彼女の風貌や言動からは想像できないほど、凶暴な衝動が心地よい振動を伴いながら湧き上がってくる。
 この相手と戦いたい。ねじ伏せたい。そしておもうさま蹂躙したい……。
 月詠の頭には、その時の光景がありありと浮かんできた。

 刹那は、月詠によって壁際に追い詰められていた。
 両者の服はズタズタに切り裂かれており、どちらも下着や肌があらわになっている部分が少なくない。
 しかし、決定的な違いとして、月詠が服を着られこそすれ肌までは傷つけられていないのに対し、刹那は手足の数箇所が切り裂かれ、血を流している。
 また、月詠が戦闘の興奮と運動に顔を紅潮させているのに比べ、刹那は青ざめた面持ちである。
 刹那は荒い呼吸をなんとか整えながら、長い野太刀を、いや、長かった野太刀を正眼に構えた。太刀は数十合に及んだ猛烈な斬り合いの途中、月詠の斬岩剣で三分の二から先を折り取られている。もっとも、折られてからの方から取り回しがよくなり、逆に月詠を苦戦させることとなったのだが。
 しかし、それも形勢を逆転させるにはいたらなかった。
 月詠は無造作に二刀を構えると、ためらいなく近寄った。
「えい〜」
 気の抜けた掛け声とは裏腹に、二条の光線を曳いて猛烈な斬撃が刹那を襲う。
「くっ」
 火花を散らして双刀を弾き返したが、月詠はすぐさま連撃を浴びせる。
 あたかも何本もの刀があるかのように、豪雨のような勢いで撃ち込んでくる月詠の攻撃に対し、刹那は防戦一方だ。しかも勢いを緩めることのない月詠に対し、刹那の反応が次第に遅れてくる。
 そして、疲労が蓄積した刹那に、わずかな隙が現れた。
 ガガキッ!
「あっ!」
 同じ場所に二刀同時に打ち込む強烈な一撃。素早いが軽い連撃に慣らされていた刹那は、対応できなかった。
 放物線を描いて夜の闇の向こうへと飛んでいく太刀。愛刀の行方を思わず刹那は目で追ってしまった。そこを見逃す月詠ではない。
 刹那の意識が逸れた一瞬に、右の刀を自ら捨て、未だ柄を握る形になっている刹那の両手首をぐっと掴んだ。
 そして左の刀で、重なった刹那の手首を貫き、そのまま壁に縫いとめる。
「あぐぁぁぁぁっ!!」
 刹那は目を見開いて激痛に悲鳴をあげた。月詠には恍惚の調べだ。
 しかし、すぐさま刹那は歯を食いしばると、目の前の月詠に対し強烈な前蹴りを放った。月詠が慌てて後ろに跳んだため、反撃は月詠のボロボロの服をさらにひどい状態にするのに留まった。
「はぁ〜、さすが刹那はんや〜。そんな状態になってまだ戦う気力が残ってはるなんて〜」
 まるで恋しい人でも見つめるかのように、うっとりとしたまなざしで、月詠は刹那を見つめた。
 その視線の先には、頭の上で交差させた手首を無残にも貫かれ、苦悶の汗を流しながらも闘志のこもった目でこちらを睨みつける刹那の姿。
 骨と大きな動脈を巧妙に避けて刺されているとはいえ、気が遠くなるほどの痛みを感じているはずだ。前蹴りで上半身が揺れたため、ダメージはむしろ刹那の方に加わっている。それでも刹那はうめき声すら漏らさない。
 月詠は今さっき自ら捨てた刀を拾うと、前蹴りを警戒しつつも、再びすたすたと刹那の前に歩み寄った。
 壁に縫いとめられたこの状態で蹴っても、充分に備えている相手には避けられるだけ。刹那にもそれはわかっているので、彼女は動かない。しかし月詠に一瞬でも油断があれば、即座に爪先がみぞおちにめり込むことは、強靭な意志力を秘めた目を見ればわかる。
 月詠はにっこりと微笑むと、鋭く刹那の両足を払った。大きく足が開いたところで、刹那の左足の甲に持っていたもう一本の刀を突き刺す。
「ぐうぅぅぅぅっ!」
 灼けるような痛みに、ギリギリと音がするほど歯を食いしばって耐える刹那。噛み合わさった前歯の隙間から、呼気と共に唾液が吹きこぼれる。両目尻に、苦痛の涙が浮かぶ。
 それでも、刹那は泣くどころか叫びさえしない。最初のショックをやり過ごすと、荒く息をつきながらも傲然と顎をあげ、月詠に強烈な視線を送る。
「素敵やわ〜」
 くすくすと月詠は笑った。両手と片足を封じられ、完全に戦闘能力を失った刹那を嘲笑しているのではない。彼女はこんなことに陥ってなお気丈さを失わない刹那に、心底感激し、また憧憬の念すら覚え始めている。ただ彼女の場合、その発現の仕方が、狂っていた。
「ウチ、刹那はんに惚れてしまいそうや……」
 夢を見るような表情で、刹那に顔を近づける。
 と、刹那が口を尖らせたかと思おうと、月詠の顔に唾を吐いた。
 べちゃりと音を立てて、透明な泡だった液体が月詠の頬にへばりつく。
 四肢を動かせない刹那ができる、唯一といっていい反抗だった。
 しかし月詠は刹那の意図とは裏腹に、怒るどころか嫌な顔すらせずに頬を手の甲で拭うと、自分の手についた刹那の唾液をぺろりと舐め取った。
「う……」
 予想だにせぬ月詠の行動に刹那はうめいた。その顔が、見る見るうちに嫌悪に変わる。 同じ神鳴流の剣士が、木乃香に害を為すのに加担するばかりか、このような変態であるとは、なんと情けない。表情が、そう雄弁に語っていた。
 月詠は明らかに欲情した笑みを浮かべながら言った。
「おいしかったえ。それじゃあウチもお礼をせなあかんな〜」
 月詠は両手で刹那の頬を挟み、無理矢理に上を向かせた。
 軽く背伸びをし、刹那の顔を真上から覗き込むかっこうになる。頭のすぐ上に、刹那の両手首を壁に縫いとめてある刀があるが、刃は上を向いているので脳天を切ってしまう心配は無い。
 その状態で、月詠は自分の口の中に唾液をためると、刹那の口元めがけてとろりと垂らした。
「〜〜〜〜!!」
 糸を引いて垂れてくる唾液の塊を、刹那は首を振ってなんとか避けようともがく。しかし両頬をしっかりと挟みこんで固定する月詠の力は、その華奢な外見に似合わず万力のように強固だ。
 ぼとっと、刹那の唇に月詠の唾液が落ちた。唇を固く結んで、せめて口内への侵入は拒否しようとする刹那。月詠は気にせず次々と唾液を垂らし、刹那の口元から顎にかけてをびちょびちょに汚した。
 屈辱に歪む表情を見て、ようやく満足した月詠は、とりあえず刹那の顔を離した。刹那はすぐさま顔を一杯に横に向け、肩で唾まみれにされた口元を拭う。そして再び、月詠をきっと睨みつけた。
 月詠は全身の血がざわざわと騒ぎ出すのを感じた。これほどに興奮したのはいつ以来だろうか、と熱で浮かされたように昂ぶった頭で思う。
「ふふふ……」
 抑えきれない含み笑い。月詠はどこからか刃渡り数センチの小さなナイフを取り出した。
 月明かりを反射して鈍く輝くそれを、月詠は刹那の体に縦横に使った。
 肌と肉を切り裂かれる予感に、歯を食いしばって備える刹那。しかし、彼女の予想に反して痛みはなかった。
 すでに激しい交戦でズタズタになり、ひっかかっているだけ、という様子だった刹那の服が、するりと落ちた。制服はもちろん、上下の下着まで切っているのに、肌にはすじ一つつけない辺り、堕ちても神鳴流である。
 肌を余すところなく晒されて刹那の顔が羞恥に染まったが、彼女はなおも瞳に抵抗の意志を灯らせている。
 二本の刀で壁と地面に縫いとめられた刹那の姿は、月詠にはため息が出るほど美しく思えた。
 輝くような白く滑らかな肌と、中性的な体つき。線は細いが、か弱さはなく、高密度の金属で出来た刃物のような印象だ。
 手首の傷から血が上腕を伝って流れ、横に突き出す格好の肘から地面に滴り落ちている。また、戦闘中に月詠がつけた、さほど深くは無い切り傷も何箇所かある。そこから滲み出す赤い血が、刹那の白い肌に痛ましい彩色をしている。
 まるで、捕獲され、標本箱にピン止めされた妖精のようだ。月詠はそう思い、嗜虐的な喜びに胸を躍らせた。
 月詠はナイフをしまうと刹那に近づき、その胸に両手で大胆に触れた。
 肉付きの薄い胸は、月詠の小さな手にちょうど収まる大きさだった。肌触りを確かめるように手のひら全体で撫で回し、またぐにぐにと少ない脂肪をかき集めるようにして揉む。
「はぁ〜、すべすべして……うらやましいわぁ〜」
 うっとりと言うと、月詠は引き寄せられるように刹那の胸に顔を近づけ、その桃色の先端に口付けた。
 自分の胸を官能に染まった表情で嘗め回す月詠を、刹那は口をきゅっと結んで見下ろす。
 手足を絶え間ない痛みが襲うこの状態でいかに愛撫されようと、感じるわけがない。ただひたすら、アブノーマルな月詠の行動を嫌悪し、痛みと屈辱と無力感に耐えるのみだ。
 ひとしきり刹那の肌を味わった月詠は、次いであろうことか股間に手を伸ばした。
 まだ薄い刹那の恥毛を、軽く指にからめて弄ぶと、割れ目に指を這わせた。
 細い指で淫核を刺激し、膣口に第一間接をねじこんだり、その周りをさすったりと、無理にでも刹那の女を感じさせようとする動き。
 月詠は顔をあげ、刹那の表情をうかがう。だが、刹那は嫌悪と屈辱の表情を浮かべているものの、官能を感じている様子はかけらもない。
 考えてみれば当たり前の話だ。月詠の愛撫が稚拙だとかいう以前に、貫かれた手足からギリギリと神経を削るような痛みが続くこの状態で、そんなもの感じるわけがない。
 月詠が触れている割れ目の部分も、濡れるどころか熱さえ帯びる気配が無い。
 しかし彼女は逆に目を輝かせた。刹那を陵辱する、新たなアイデアが浮かんだからだ。
 月詠はいったん刹那から体を離すと、小走りに闇の向こう側へと駆けていった。
 足音は遠ざかったかと思うとすぐに戻ってくる。
 可愛らしい微笑みを浮かべる唇、期待に高まる鼓動。両手には、まるで宝物を持つように、長い太刀──夕凪──を抱えていた。戦闘中に刹那が捨てた鞘も、どこからか拾ってきたらしく、刀身はそこに収められている。
 刹那が無言で月詠に鋭い視線を送る。月詠のような相手に、愛刀に触れられるだけでも腹立たしい、といった表情だ。
 再び刹那に相対した月詠は、鞘の中ほどを持つと、柄の尻を刹那の股間にあてがった。
 意図を察した刹那の顔が、さっと青ざめた。
「やめ……っ」
 月詠は、手に一杯の力を込めて、夕凪の柄を刹那の体内にねじこんだ。
「ああああああああああああああああああああああああっ!!!」
 今までで最大の悲鳴を刹那はあげた。
 単に破瓜の激痛によるものではない、月詠がはじめて聞く、悲しみのこもった悲鳴だった。
 苦楽を共にし幾多の危険を戦い抜いてきた神聖な愛刀を、そんな風に使われたことによる悲しみだった。
 刹那の悲鳴に気をよくした月詠は、一層激しく夕凪を突きこんだ。
 処女喪失と、あまりにも乱暴な挿入で、刹那の股間から鮮血が流れだし、夕凪の刀身を伝って途中の月詠の手を染める。
 内臓を突き上げられ、上下に刹那の体が揺れるため、貫かれた両手首がえぐられてそこからも新たな血が噴き出す。
「あ……ああ……う、ううっ……」
 刹那の両目から、大粒の涙が一粒ずつ頬を伝ってこぼれた。月詠は目元を赤らめながら刹那の顔に口を近づけると、その涙を舐め取った。圧倒的な征服の味がした。
 月詠はさらに、柄のほとんど全てを刹那の膣に収めた状態で鞘を抜き、その鞘を今度は刹那の肛門に突きこんだ。
「ぐぅっ!………………ひ、ひどすぎる……」
 初めて、刹那は弱々しい声を漏らした。後ろの処女までも奪われたことではなく、夕凪の鞘を不浄の場所に突きこんで汚したことを言っているのだろう。
 刹那の嗚咽を聞きながら、月詠は狂ったように相手の二つの穴を陵辱し続けた。月詠の下着の許容量を超えた愛液が、彼女の足を伝っていった。

「月詠はん? 月詠はん!」
 はっと月詠は我に返った。
 千草は、目を細めてこっちをじっと見つめている。
「すいません〜。戦いのことに想いをはせておりまして」
 今しがた頭を渦巻いていた陰惨な妄想とは正反対の、天真爛漫な微笑みを見せる月詠。千草はため息をついて言った。
「……本番ではそういうのやめてや」
「ええ、もちろん」
 それはありえない、と月詠は思う。なぜなら本番とは、まさにその妄想を現実にする時のことだからだ。そんな楽しい現実を前にして、ぼんやりすることなど考えられない。
 千草は身を翻すと、大きく開いた背中を見せながら立ち去っていった。
 月詠は再び、刹那の写真に目を落とす。
 彼女を蹂躙したい。それがかなわないとしても、彼女に蹂躙してもらえるかもしれない。どちらにせよそれは月詠の望むところだ。
 下腹部が熱い。下着が湿っている。
 ふつふつと湧き上がってくる狂気の戦闘欲に、月詠は一人静かに身を焦がしていた。


   第三十二話 終わり


次回予告!
 修学旅行二日目、数々のライバルを押しのけ、のどかはネギを自由行動に誘うことに成功する。のどかの勇気をたたえる夕映とハルナ。ハルナはさらに、のどかに先生に告白するよう促すのだった。もし、ハルナが調子に乗ってでたらめな「調査結果」を語りだしたら……? 乞うご期待!

次へ

図書室にもどる   玄関にもどる

動画 アダルト動画 ライブチャット