ifネギま! 〜一話一妄想〜




ifネギま! 〜 一話一妄想 〜



第三十五話



 修学旅行二日目の夜。一日目は酒かっ食らって酔いつぶれていた生徒たちは、ここぞとばかりに騒ぎまくる。枕投げに興じる班あり、祝杯をあげる班あり……。そんな中、チア三人組と鳴滝姉妹のいる一斑は、怪談で盛り上がっていたのだが……。

 襖一枚を隔てて聞こえてくるドスンバタンキャーキャーという実ににぎやかな枕投げの音とは対照的に、その部屋は緊張した静けさが満ちていた。
 その張り詰めた沈黙の中に、低く押さえられた声が、床を這って流れる。
「次の夜、その漫画家が一人で仕事をしているとね、電源を切ったラジオから……」
 ご丁寧にも用意されたロウソク、その明かりに不気味に照らされた美砂が雰囲気たっぷりに語ると、聞き手たちの何人かは恐怖の予感に震えた。
 部屋の中心に向かって放射状に布団を敷き、首まで掛け布団をかぶって頭を寄せ合う聞き手たちの中には、一斑のメンバーの他にも、村上夏美や四葉五月も参加している。
 凍えるように震えた声で、美砂は急激に声を張り上げた。
「この世のものとは思えぬ女の声が〜〜っ」
「ギャアアアアア───ッ」
 魂が消し飛ぶかのような悲鳴を出したのは、鳴滝姉妹である。およそ中三の少女に似つかわしくない、我を忘れた悲鳴に、本当は自分も叫びたいほど怖かった夏美は思わず耳を塞ぐ。
 特に姉の風香の方は幽霊の類が苦手とあって、喉が裂けんばかりの絶叫をすると、ミノムシかモグラさながら、ずりずりと後ろに下がりながら掛け布団を頭の前に引っ張り、完全に布団の中に潜り込んでしまった。それを見た妹の史伽の方も、それはいいアイデアと言わんばかりに姉の真似をする。
 こいつらは中身も小学生並か、と苦笑すると、美砂は怖い部分を多少はしょって話を終わらせ、ロウソクを吹き消した。
「修学旅行の定番といえば怪談大会なんだけどなー、鳴滝姉妹がこの調子じゃダメかな」
 布団から抜け出た円が、やはり微笑みながら壁際に行き、電灯をつける。双子は、まだ布団に篭城したまま出てこない。
 掛け布団をまくりあげ、その場に座った夏美が美砂を見て行った。
「それじゃ、私あっちに行っていいかな?」
 と、バタバタと地響きも激しい枕投げ会場を指差す。
「うん、いいよー」
「じゃあ私も……」
 五月も身を起こし、隣の部屋へ向かう夏美の後を追った。
「私たちも、行く?」
 部屋の中心に戻ってきた円が言うと、乗り気なようで桜子も布団から這い出してきた。鳴滝姉妹も、二人同時に顔だけ布団から出す。ほとんど、外敵がいないか警戒しつつ巣穴から出てくるリスだ。
「あらあらあら〜、他の班ならいざ知らず、私が班長を務めるこの一斑で、修学旅行のお楽しみが怪談と枕投げ大会だけなんて言わせないわよ〜」
 ニンマリと怪しい微笑みを浮かべる美砂。その表情に、鳴滝姉妹はあっという間に巣穴に隠れた。
「な、なに?」
 美砂の放つ妙な気配に気おされながら、円が問うと、美砂は跳ねるように照明のスイッチへと向かうと、さっき円がつけたばかりの明かりを消した。
 ふっと暗がりに戻った部屋中に響き渡る明るい声で言う。
「猥談大会〜っ!!」
「却下」
「え〜〜っ」
 0.5秒で否定した円に、美砂は口をとがらせた。
「なんでよ〜」
「あんたと彼氏のノロケはもう聞き飽きたのよっ」
「じゃあ桜子は?」
「私は別にいいけど……」
 と桜子は、暗がりの中、再び布団から頭だけ出している鳴滝姉妹の方を向いた。
「そこの二人にはマズイんじゃない?」
「う……」
 思わず口ごもる美砂。しかし、抗議は意外な場所からあがった。
「ちょっと待って、どうして僕らに遠慮するの?」
 布団から半身を抜け出した風香は、目を吊り上げ、不満げに口を結んでいる。史伽は、そんな姉を布団を被ったまま少々不安げに見ている。
「どうしてって、ねえ……」
 美砂は助けを求めるように円を見た。円は、一瞬、美砂と無言で視線のやり取りを行ったが、やがて双子の方を向いた。慎重に言葉を選びながら言う。
「だってその……そもそも、猥談の意味わかってるの?」
 馬鹿にしないでくれとばかりに、風香は腰に両手を当て、胸を張って言った。
「要はエッチな話でしょ? それくらい僕らにもできるよ」
 史伽が、布団から腕を出して史伽の上着の裾をくいくいっと引っ張った。
「お、お姉ちゃん? もしかしてあの時の話をするつもりですか?」
「うん」
「それは、ちょっと恥ずかしいんですけど……」
 弱々しく訴える妹に、姉は強い調子で主張した。
「僕たち、ただでさえ体格のせいで子ども扱いされてるんだよ。ここで年齢に相応しい体験があることを知ってもらわなきゃ」
「わ、私は別に……それにみんなも聞きたがるかどうか……」
 そう言って史伽がチア三人組の方を見ると、三人とも薄闇の中目をらんらんと光らせ、乗り出すようにして双子の前に集まっている。クラスでも特に恋愛とは縁が薄そうなこの双子がする猥談とはいったいどんなものかと、興味津々だ。
「ひええ」
 史伽は顔を真っ赤にすると、布団の中にまた潜り込んで目だけを出した。
 三人の無言の視線に少しくすぐったさを感じながらも、風香は話し出した。

 春休み、鳴滝姉妹がネギに学校案内をした何日かあとのことである。
 陽もだいぶ高くあがってぽかぽかと暖かくなってきた頃、三人は食堂棟でばったりと出くわした。
「「あ、ネギせん」」
「今日は奢りませんよ!」
 ユニゾンの挨拶を叩き割るように、ネギは語気鋭く言った。ずざっと後ずさりし、いつも持っている布につつんだ長いのを双子に向けて、盾にしている。
 ぽかんとしていた双子だったが、顔を寄せ合ってヒソヒソと会話を交わした。
「まずいですお姉ちゃん。完全に警戒されてます」
「うーん、さすがに三日連続で、たかったのはまずかったか」
「どうするですか。先生の信用完全に失ってるですよ。ここはやっぱり素直にあや」
「うん、色仕掛けだね」
「ええーっ!」
「大丈夫、ネギ先生はそういう攻撃苦手だから、きっとまた奢らせることができるって!」
「お、お姉ちゃんまだたかる気ですか……」
「だってこの前奢ってもらったパフェおいしかったじゃない。あれ、春休み限定メニューだよ? もう一回食べたくない?」
「うう……でも私たちクラスでも特に色気が無いじゃないですか」
「やってみなきゃわかんないよ。ダメでも別に損するわけじゃなし」
「ほんとですか〜」
 相談がまとまった(?)ところで、二人は未だ怪訝な顔をしているネギの方に向き直った。
 間に鏡があるかのようにシンクロした笑顔を作って交互に言う。
「ネギ先生、とりあえず奢る奢らないは置いといて、ちょっとこっちに来てよ」
「いいことがありますよ〜」
 にこやかな表情と声に、逆にネギは警戒心を抱いたようだが、厳しい顔つきをしつつもネギは双子の方へと近づいた。
「な、なんですか、いいことって」
「いいからいいから」
「こっちですよ、こっち」
 ネギの両サイドにぴったりと張り付き、それぞれ片腕を絡ませて、双子はネギを連れていく。両手に花、もしくは護送される囚人だが、ネギの表情は後者のそれに近い。
 鳴滝姉妹は、以前楓から教えてもらった、食堂棟の建物の隙間へとネギを案内した。
 二人並んで歩くとそれだけで一杯になってしまうという細い路地で、まず人が来ることはありえない。隙間は途中で曲がっているので、そこを過ぎてしまうと真上から以外、どこからも見られることが無い。多少埃っぽいことを除けば、秘密めいたことをするのには理想的な場所といえた。
 そんなところに引っ張り込まれたネギは、ますます困惑顔になった。
 双子は目を見交わし、一卵性双生児特有のアイコンタクトによる意思疎通を行うと、突然ネギの両頬にキスをした。同時に、二人の体でネギをプレスするように、思いっきり彼の体を抱きしめる。
「う、うわわっ」
 慌てふためいてじたばたするネギをの体を押さえつけながら、二人は次々に頬やこめかみや耳元に、両側からキスの雨を降らせた。もっと彼女らの発育がよかったら、柔らかい胸をネギの腕や肩にこすりつけて一層の効果をあげることもできただろうが。
 顔のあちこちに双子の柔らかい唇が触れる感触は、ネギの顔を赤らめるのには充分だったが、彼を篭絡するには至らなかった。
「や、やめてくださいっ!!」
 ネギは意外に強い力で、自分に絡み付いてくる双子の体を強引にひっぺがすと、大きな声をあげた。
「きゃっ」
「先生、なにすんのさー」
 史伽は自分を振りほどいたネギに、ちょっとおどおどして、姉の方をちらりと不安げに見る。一方、風香は怖がりなくせにこういうことには度胸が据わっており、ネギから視線をそらさず頬を膨らませた。
「いいかげんにしてくださいっ! 二人みたいな子どもが、こーゆーことをみだりにしちゃいけませんっ!」
 手に持っている長い棒を振り回して力説するネギ。棒の先端が狭い路地のそこここにガツガツ当たるほどの勢いだ。
「どーしてさっ! 子どもっていうなら先生の方が僕らよりずっと子どもじゃない」
「確かに私たち、背が低くてよく小学生に間違われるけど……見た目で私たちを判断するですか?」
 威勢のいい風香の反論よりも、ボソボソとした調子の史伽の言葉に、ネギは「うっ」とうめき、怒りと羞恥で染め抜かれていた表情に後悔の色が落ちた。
 史伽ナイス! と風香は内心ガッツポーズ。大規模な論点のすり替えによる突破口の形成だ。なまじ史伽にそういう意図が薄く、天然な発言だったからこその効果であろう。
 風香がちらりと妹を見ると、相手は即座に姉の考えを察知した。
「え、い、いや、そういうことでは……」
 明らかにうろたえた様子を見せたネギは、この時点で完全に双子の術中にはまったと言える。
 風香も、そしてそのアイコンタクトを受けた史伽も、かさにかかって攻めたはじめた。
「僕らが自分の体の小ささを思い知るたびに、どれだけつらく思っているか先生にはわかる!?」
「学校では毎年発育測定があるから、その度にほとんど変わってない数字を見て自分が情けなくなるですよ」
「学校の制服で、体に合うのを見つけるのにすごく苦労したり……」
「中学の駅で降りると、駅を間違えてるよって注意されたり……」
「知り合いの小学生はタメ口で私たちに話しかけてくるし……」
「ちょっと遠出するとすぐお巡りさんが迷子かどうか確かめにくるし……」
 実際には公共機関を小学生料金で利用するのをはじめとして、小学生の体格と中学生の知能のギャップを利用してかなり楽しんでいる二人なのだが、そんなことはおくびにも出さない。
 胸の前で両手を握り締め、瞳をうるうるとさせ、いかにも薄幸の少女といった仕草を作るからタチが悪い。そんな調子で交互に詰め寄るのだから、ネギは自分の言ったことが非常に重大なことに思えてきたらしく、目に見えて顔が青ざめていった。
 と、ここで風香は再び史伽に視線を送る。ネギを追い詰め、責めるのが目的ではないのだ。そういう陰険な悪戯は、彼女の嫌うところでもある。
「だから先生、僕らを子ども扱いしないで。それに……」
 風香はネギの目の前に立つと、彼の腰に手を回した。
 素早くキスする。ただし、今度は唇に。
「!」
 驚きに開いた口に、舌をするりと差し入れる。
「………っ! ……………っつ!!」
 ネギは反射的に逃れようと、のけぞって頭を後ろにそらすが、風香はそれを追ってぐっと唇を押し当ててくる。路地の壁を背にしているため、ごつんとすぐに退路は塞がれてしまう。
 目を閉じた風香は、さらにネギにぴったりと抱きつく。ネギは振り払おうと思えばできただろうが、先ほどの双子の非難が効いているらしく、それをしない。風香は顔を傾けて、さらに深く舌をもぐりこませた。
 ちゅっ、くちゅっ、ぺちゃぺちゃ、れるっ、くちゅちゅ……。
 口付けた唇の奥から、卑猥な水音がする。風香の舌が、唾液をたっぷりとまとってネギの口内で動き回り、彼の唾液と混ざりあっている。その様子がありありとわかるような音だった。
 ネギははじめ、何かに耐えるように眉間に皺を寄せ、拳を握り締めていた。が、風香の激しいキスが続くにつれて、次第にその力が抜けていく。
「ん……」
「む…ん…………う……」
 ちゅうっ、ちゅっつ、くちゅっ……。
 鼻で息継ぎをしながら、風香のディープキスはえんえんと続く。唇の間から、二人の唾液がとろとろとこぼれ、顎を伝っていく。
 いつしかネギの表情はうっとりととろけ、目を閉じて風香の情熱的な口付けを受け入れていた。
 いったいどれくらい長く続いたキスだったのか。顎を伝ってきた唾液のしずくが、地面にポタポタと落ちるほどになって、ようやく風香は唇を離した。
 二人の口と口の間に、たっぷりと混ぜ合わされ、粘度を増した液体がつーっと橋をかける。太い蜘蛛の糸のように透明なその糸は、名残惜しむように一瞬重力に耐えたあと、ぷつんと切れた。
「どう、子どもにこんなキスができる?」
 濡れてしまった口元を拭いながら、風香が言った。目元が興奮に染まり、少し息を切らしている。
「あ……う……でき……ませ……ん
 口と一緒に脳まで犯されたのか、ネギの口調は彼の目や口元と同様、とろけきっている。唾液まみれの口元を拭おうともしない。
「す、すごい威力です……」
 史伽が唖然としてつぶやいた。
「ほら、史伽もそんなところで見てないで、先生とキスしなよ。すごく気持ちいいよ」
 上ずった声で風香が言う。
「そうなんですかお姉ちゃん」
「うん、二人でするのとは段違い」
 史伽は、姉とキスをする時の心地よさを思い出し、それをはるかに上回るという姉の言葉にさっと頭に血が昇るのを自覚した。
 おずおずとネギに近づくと、ネギにしっかりと抱きつき、姉の唾液でぬるぬるになったネギに口付ける。
 不意をうったわけでもないのに、ネギは史伽の舌をすんなりと受け入れた。
 味などあるはずもないが、いつも感じている姉のものとは微妙に違う唾液の味、舌が触れる感触も微妙に違う。
 舌と舌を絡みつかせてみる。ネギはそれほど積極的ではないものの、史伽の舌の動きに応えて舌を動かしている。
 姉は姉妹同士でするのとは段違いだと言ったが、なるほど神経を快楽のパルスがピリピリと走っている。これが他人との、いや異性とのキスなのだろうか。史伽はそう思った。
 一卵性双生児同士がいくら睦みあったところで、所詮は自慰行為の延長に過ぎないという考え方もできる。ネギとのキスは、明らかに何倍もの快感が押し寄せてくるのだ。
 史伽はその未知なる快楽に熱中し、じっくりと姉と同じくらいの時間をかけてキスに没頭した。
 しばらくして、史伽はすっと後ろに下がった。夢を見ているようにうっとりとしているが、頬が興奮で紅潮している。
 彼女はもじもじと体を揺すった後、我慢しきれずに短いスカートの中に手を入れようとする。
 と、その手を風香が掴んだ。
「え、なにお姉ちゃん?」
 目を快楽にうるませながら風香は言った。
「濡れちゃったの?」
「うん……」
「僕も。史伽がキスしてる間、見ながら自分で触ってたけど、やっぱり……」
 そこでネギの方を見た。いまだに双子のキスの余韻に浸りきって、脱力して壁によりかかっている。
 二人はネギの前に並んで立つと、シンクロした動きで自分のスカートをまくりあげ、白い下着を膝まで下ろした。たっぷりと愛液を吸って重くなったパンツは、そのまま足首までずり落ちる。
 きれいな一本線をネギに見せた二人は、ユニゾンで言った。
『先生、触って』
 可愛らしい少女二人が、女性の最もプライベートな部分を惜しげもなく自分に晒している。そして、ステレオで聞こえてくるあまりにも蠢惑的な誘いに、ネギは音が聞こえるほど大きく、ごくりと唾を飲んだ。
 彼は緊張と期待に震えながら、手を伸ばす。右手は風香の秘所に、左手は史伽の秘所に。
『あっ』
 ネギの指先が割れ目に触れると、それだけで双子は同時に声をあげた。
 まだ発達しきっていない性器を、探るようにネギがいじると、体をよじって荒れ狂う快楽に身を任せた。
「あっ、あっ、ん………せ、先生のも、触ってあげる……ね、史伽」
「んっ、んっ、う……ん……」
 風香は大きく張り出したネギの股間をつるりと一撫ですると、ネギは「ああっ」と叫んで身を震わせた。
 史伽がチャックを下ろし、風香がベルトを外す。そして二人で協力して、下着ごとスーツのズボンを下ろした。
 すでにズボンを突き破らんばかりの勢いで硬くなっていたネギの肉棒は、サイズこそそれほどでは無いものの、急角度でそそり立っている。
 風香と史伽は視線を交わすと、風香が竿をしごき、史伽が睾丸をゆっくりと撫で回した。
「先生、気持ちいい?」
「ああっ、き、気持ちいい、す、すごく気持ちい、いです。あうっ」
「は、あっ、僕らも、気持ちいいよ。ね」
「う、うん、お姉ちゃん」
 お互いに敏感な部分をさわりっこするうち、三人は自然に、磁石同士が引かれあうように顔を寄せた。
 それぞれに小さな舌をちろりと出し、三つの唇でキスを交わす。三枚の舌が群れを作る軟体動物のように絡み合い、それぞれに唾液を与え、貰う、奇妙なキスが続く。
 お互いに異性の性器を愛撫するなど初めてのことだから、その手つきは当然ぎこちなく、稚拙とも言える。しかし、登りつめている興奮が、快楽を倍増させている。
「あっ、せ、先生、そこ、そこすごいぃっ」
 突然、姉とネギとの口付けに没頭していた史伽の顔が跳ね上がった。
 唾液の雫を宙に舞わせながらガクガクと震える。ネギは、今触れている史伽の淫核の部分を、ぐっと捻ってみた。
「ひゃああああああああああああっ!!」
 感電したかのように大きくのけぞる。狭い路地に反響が起こるほどの悲鳴じみた声をあげ、史伽は絶頂を迎えた。
 思考を一撃で漂白させるほどの激しいショックに史伽はふらふらと後ろにさがり、路地の壁に背中をあずけると、ずるずると壁をこすりながらその場にへたり込んだ。
「ネギ先生、僕も、僕もっ!」
 妹の痴態を見て、風香が切羽詰った声でねだる。ネギはそれに応えて、史伽と同じようにしてやった。
「ひゃああああああああああああっ!!」
 双子だけによく似たよがり声をあげると、風香もまた糸の切れた繰り人形のように壁によりかかり、全身の神経を駆け巡る性感の余韻に息を切らした。
 さて、初めて味わう他人との、異性とのペッテイング。その素晴らしさに史伽が浸りきり、霧のかかった視界の向こうで姉も同様の状態になったのをぼんやりと眺めていると、ネギが近づいてきた。
 ズボンが足首まで下ろされているので、アヒルのようなヒョコヒョコとした滑稽な歩き方だ。もっとも、路地がごく狭いのですぐに史伽の正面まで来る。
 彼が手を差し伸べたので、いまだ絶頂の余韻でだるさの残る手足を叱咤し、史伽はネギの手を握って立ち上がった。
 すぐさまネギは荒い息と共に史伽を壁に押し付け唇に口付けする。
 躊躇無く彼女もそれを受け入れ、再び濃厚なキスをはじめるのだが、びしょびしょに濡れた股間に触れるものがあった。
 また愛撫してくれるのかと彼女は考えたが、一瞬後、滞りがちの思考がようやくクエッションマークを表示した。
 ネギの右手は、自分の左手を握っている。左手は、腰に回されている。じゃあ今、体内にもぐりこもうとしているこの熱くて細長いものは?
 下目使いに見ると、今まさにネギのペニスが彼女の膣内へと侵入をしようとしているところだった。
 いくら性欲に八割がた頭を支配されているとはいえ、これには彼女も驚き、左手で思わずネギの胸を押した。キスが離れる。
「先生、それは……」
「史伽さん、子どもじゃないんでしょ?」
 いつになく、情熱的なネギの言葉だった。
 史伽がうなずくと同時に、ネギは腰を思い切りうちつけてきた。
「あぐ……っ……。んん……あ……………」
 ずきっという痛みがあった。
 しかし、すぐにそれは後から押し寄せてきた快楽の津波に押し流されてしまう。充分に濡れきっていたし、ネギのペニスのサイズがさほど大きくなかったせいだろう。
「はぁっ、はぁっ、あ、あ、あ、すごい、です。史伽さんの中、き、気持ちよすぎますっ!」
「あん、あっ、あああっ、わ、私も気持ちいいですっ、ネギ先生、あっ、もっと、く、くださいですっ」
 お互いに激しくあえぎながら、腰をガンガン打ち付ける二人。お互いに初めての交合にも関わらず、瞬く間にヒートアップする。普段は大人しい史伽も、今ばかりは積極的に腰を使っている。
 我を忘れて腰を前後に振るネギに、横から風香が抱きついてきた。
「先生、史伽ばっかりずるい!」
「え……」
 史伽はネギの頭を掴むと、強引に自分の方に向かせ、激しくキスをした。
 さらに、ネギの頭から手を離すと、キスを続けながら自分の上着をまくりあげ、ネギの手をとって胸をさわるよう誘導した。乳首の周りがほんの少し盛り上がっているだけの薄い胸だが、ネギは乳首は乳輪を熱心にいじりまわす。
 上半身を捻って風香と熱烈な愛を交わす一方で、下半身はもちろん一時もそのピストン運動をやめない。
 双子を同時に相手するという夢のような状況に、ネギの睾丸は勢いよく精液を史伽の体内に発射した。
「うあっ」
「はうぅぅぅぅっ!!」
 体の奥に流し込まれる熱い液体の感触に、史伽は浮遊するようなとてつもない快楽の渦にさらわれる。短い間に二度も激しい絶頂を向かえ、彼女は眠るように崩れ落ちた。
 ぬるりと、二種類の性液、そして破瓜の血にまみれたペニスが抜ける。風香が喜んだことに、史伽をイかせるほどの激しい射精を行ったにも関わらず、それは硬度を失っていなかった。
 風香は自らネギのペニスをつまんで自分の膣に誘導すると、ためらうことなくぐっと腰を押し進める。
「うんっ……」
 妹が大丈夫だったのだからと思ったが、案の定ほとんど痛みはなかった。風香は改めてネギに抱きつくと、ネギも待ちかねたとばかりに腰を動かしだした。
 たちまち押し寄せる嵐のような快楽。破瓜の鈍痛すらもそれを高めるアクセントにしかならない。
「ネ、ネギ先生、あっ、もっと、もっとついてっ。激しくしてっ、あっ、ああっ、史伽みたいにしてぇっ」
 たっぷりと熱のこもった言葉にネギは一層の興奮を誘われたらしく、無我夢中で腰をうちつける。
 風香は激しい打ち込みに全身をガクガクと揺らしながらも、ネギにキスをねだった。
 すぐさまネギの顔が近づき、二人は激しく舌をからめあい、こぼれるのも構わずお互いの唾液を吸いあう。
 何も考えられなくなるほどの上下での濃厚な交わり。
 先に達してしまったのは、今度は風香の方だった。
「んんんんんんんんんっ」
 あえぎ声でキスを中断するのも惜しんで、彼女はネギの舌を吸いながら声をあげる。
 風香の膣がネギのペニスを強烈に握り締め、彼もまた二度目の射精を迎えた。
 一瞬、危ういバランスを保ったあと、急激に脱力して崩れ落ちる二人。
 抱き合ったまま、二人は朦朧として座り込む史伽の横に、へたりこんだ。
 しばらく、お互いの激しい呼吸と心音を聞きあう時間が流れる。
 やがて、呼吸を整えた風香は、ネギの耳元でささやいた。
「先生、僕たち、はじめてだったんだよ……?」
 風香の言葉に、抱きしめているネギの体が固まったのがわかった。二度の射精で、理性を取り戻したのだろう。
 金縛りにあっているネギの耳元に風香は悪戯っぽくささやいた。
「でも先生になら……お礼は、パフェ二杯でいいよっ」

「ふえ〜、それじゃあ二人は初体験が3Pでアオカンでしかも相手はネギ先生か〜。しかもいいんちょや本屋ちゃんを出し抜いて!」
 風香が話し終えると、桜子は感心の声をあげた。
 さすがに恥ずかしかったのか、お転婆の風香も顔を赤らめている。史伽の方はというと、あまりに赤裸々な姉の告白を聞いていられず、途中から完全に布団の奥の方へ引きこもったままだ。ただ、布団越しにも姉の声は聞こえていたらしく、自分とネギがからむ場面になると身悶えして、盛り上がった掛け布団がもぞもぞと動いていたのだが。
「っていうことは、私はこの二人にも遅れをとったわけか……」
 呆然とした調子で、円がつぶやく。まあ別に早けりゃいいってわけでもないけどさ、などとぶつぶつとつぶやいているが、ショックは隠せない様子である。
 と、突然黙っていた美砂が、大声を出した。
「い〜〜〜〜な〜〜〜〜〜〜!!」
 三人の視線が自分に釘付けになるのも構わず、美砂は両手をぶんぶん振った。
「い〜〜〜〜な〜〜〜〜〜〜! い〜〜〜〜な〜〜〜〜〜〜! 私もネギ君とそういうことしたい〜〜っ」
「ちょっと美砂、あんた彼氏いるくせに……」
 大声ではしたないことを言う友人を円がたしなめようとした時、雷鳴のような怒号が響いた。
「コラァ、3−A、いーかげんにしなさい!!」


   第三十五話 終わり


次回予告!
 朝倉とカモの主催で、ネギの唇をかけた壮絶なゲームが始まった。しかし当のネギは旅館を抜け出しており、身代わりの偽ネギ5体が部屋にいるのだった。もし、真っ先に部屋にたどり着いたのどかに、5人の偽ネギが一斉に襲い掛かったら……? 乞うご期待!

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